中小企業の社長の責任はどのようなものがありますか

中小企業の社長の責任とは、次のようなものが考えられます
○全従業員に対しては、物心両面の幸福を追求する責任、常に誠実である責任。
○顧客に対しては、顧客の期待やニーズに対応できる質の高いもので、しかも適正な価格で販売する責任。
○会社に対しては、明確な目標をもって、熱意と努力で、正しく会社を存続させていく責任があります。
○社会に対しては、社会が抱えているさまざまな課題に挑み社会全体に貢献する責任

会社の代表者である社長は、意思決定の最高責任者です。会社の経営活動は意思決定の連続なので、その責任は非常に重く、影響は多方面に及びます。
特に中小企業の社長は自身の決断の失敗を誰かのせいにするというような責任転嫁をする立場ではありません。
社長は、明確な経営目標を持ち、常に従業員のモチベーションを上げて組織力の強化を図り、社会に貢献していくという責任があります。

【1】従業員への責任

■全従業員の物心両面の幸福を追求する責任

いうまでもなく、社長には、社員の生活を守っていかなければならないという責任があります。そのために社長は、信念を持って命がけで黒字経営を行わなければなりません。とはいえ、社長がスーパーマンでもない限り、資金面でも技術面でも一人では何もできません。資金も信用もない中小企業の場合、社長が頼れるものは、従業員の心です。
従業員一人一人が会社発展のために精一杯働いて、社長もみんなの信頼に応えるというような関係でなければなりません。つまり、経営者と従業員、資本家と労働者のような対立した関係性ではなく、互いに心から助け合っていけるような人間関係で会社経営を行わなければなりません。
社長は、その中でみんなからの人望がある人、人間として素晴らしい人、みんなのために努力できる人、仕事の能力のある人を組織の長に置かなければなりません。実力のある人を正しき評価していく責任が社長にはあります。そうすることで事業を成功に導き、「全従業員の物心両面の幸福」を実現していかなければなりません。

【京セラフィロソフィーの中で稲盛和夫氏は】
本来会社というものは家族とは全く違うものです。経営者の場合、会社に対する責任は有限であって無限ではありません。ところが家族に対する責任というものは無限に近いものです。しかし、京セラは、「大家族主義で経営する」として、苦楽を共にできる家族のような信頼関係を大切にしました。
そして決して大家族甘えの構造に堕してしまわないように実力主義を掲げています。社長が組織を運営していく上で最も重要なことは、それぞれの組織の長に本当に力のある人がついているかどうかです。こうした人が組織の長としての場や機会を与えられ、その力を十分に発揮できるような組織風土でなければなりません。こうした実力主義によって組織の運営が行われれば、その組織は強化され、ひいてはみんなのためになっていきます。すなわち、「全従業員の物心両面の幸福を追求する」ということになるのです。

■従業員に対して常に誠実である責任

信頼できる仲間と、目的に向かって経営することが、社長の独りよがりになってはいけません。従業員とお互い理解し合わなければなりません。「一生懸命働いても社長が潤うだけだ」と従業員から思われたのでは、会社経営を大きく崩すことになってしまいます。

どうすれば従業員に信じてもらえるのか?それは誠実な態度しかありません。自分は私利私欲のために働いているのではなく皆の幸福のために努力をしているということを行動で示していかなければいけません。
従業員から信頼されて会社を引っ張っていくために、従業員に誠実な態度摂る。これは社長の責任であり義務でもあります。

【2】顧客に対する責任

会社は、自分たちが提供した製品・サービスを利用してくれた顧客に対して責任があります。
提供した製品・サービスが、顧客の期待やニーズに対応できる質の高いもので、しかも適正な価格でなければなりません。
また、顧客に対して常に、迅速丁寧に高品質で信頼できる製品・サービスを提要する責任を果たさなければなりません。
社長は常に製造原価を引き下げる努力が必須です。そして、資料や情報を徹底的に調べ上げ、顧客に納得してもらえるぎりぎりの高い値段をつける責任があります。
製品には限りのない愛情を注ぎ、納得いくまで再考し完璧なものにまで仕上げなければなりません。このような姿勢を率先して行うことが、社長の責任です。

【京セラフィロソフィーの中で稲盛和夫氏は】
私たちがつくる製品は、「手の切れるような製品」でなくてはなりません。それは、たとえばまっさらなお札のように、見るからに鋭い切れ味や手ざわりを感じさせるすばらしい製品のことです。
たくさんの製品をつくって、その中から良品を選ぶというような発想では決してお客様に喜んでいただけるような製品はできません。
完璧な作業工程をもとに、一つの不良も出さないように全員が神経を集中して作業にあたり、ひとつひとつが完璧である製品づくりを目指さなければなりません
また、値決めは経営であるといわれ、自社の製品の価値を正確に認識した上で 量と利幅との積が極大値になる一点をもとめることであり、お客様にとってもハッピーである値でなければなりません。この一点を求めて熟慮を重ねることは、経営のトップが行うことなのです。

【3】会社に対する責任

自分の会社をどのようにしたいのかという目標を持って、何がなんでもやり遂げなければならないという責任があります。

その責任を果たすためには、できるまであきらめない熱意が必要です。どんなに才能のある社長でも熱意の乏しい人は何をすべきか思いつかないものです。
また、社長は現場第一主義で自ら率先して頑張らなければいけません。自分がお手本を示さずに、現場にも足を運ばず、結果だけを部下から聞いて済ますようでは、とても目標を達成することはできません。仕事の全責任は自分にあるというぐらいの心構えが大切です。

社長は、常に人の忠告を真摯に受け止め自分の悪かったことを素直に認める謙虚な心をもたなければなりません。傲慢な人間には、幸運や幸福は訪れません。常に周りの人への感謝の気持ちを忘れてはいけません。

会社を経営していくには、社長は数字に明るくないといけません。すべて税理士任せの会社経営では業績は上がりません。例え簿記がわからなくても、原価はわかるはずです。仕事をするうえで社長が原価意識をもっているかどうかは、会社の存続を左右する大きなことなのです。

【4】社会に対する責任

社長は企業活動を行って従業員の生活を守ることで、社会的には責任を果たしているのかもしれませんが、企業を取り巻いている環境は日々変化していて、課題も年々複雑化、深刻化しています。

企業は事業を通じて社会が抱えているさまざまな課題に挑み社会全体に貢献する責任(企業の社会的責任=CSR)があります。社長はこのような社会から必要とされる会社をつくるという責任があります。

社長が企業の社会的責任(CSR)に積極的に取り組むという責任を果たすことで、不祥事の回避や良質な人材確保、利害関係者との円滑な関係、企業ブランドの向上といったメリットを得ることもできます。

社会に対する責任とは

○サステナビリティ(持続可能性、持続的な発展)地球環境を保全して次世代まで残していく責任があります。
○ステークホルダー(企業を取り巻く利害関係者)とのコミュニケーション、つまり株主・従業員・取引先・消費者・地域社会とコミュニケーションを取り、情報を提供し合う責任があります。
○トリプル・ボトムライン
企業には“経済”“社会”“地球環境”にも配慮したバランスのある行動をとる責任があります

【5】まとめ

会社の代表者である経営者は、意思決定の最高責任者です。会社の事業活動は意思決定の連続なので、事業活動の結果ともいえる業績に対する責任は非常に重いものです。
特に、中小企業ではトップダウンの構造になっている会社が多く経営者の能力がそのまま業績に反映するといっても言い過ぎではありません。経営者は自身の決断の失敗を誰かのせいにするというような責任転嫁をする立場ではありません。
従って、会社が赤字経営に陥った時には、経営者自ら身を切る経営改革を行なうべきであり
顧客に対して、株主に対して、従業員に対して、社会に対しての様々な経営責任も負わなければなりません。