売上総利益

売上総利益とは、会社の基本となる利益であり、売り上げる商品の持つ魅力や力によって稼いだ利益のことです。つまり、売上高から売上原価を差し引いたものということになります。

計算式Ⅰ
売上総利益 = 売上高 - 売上原価

売上総利益を知るにあたって、損益計算書の仕組みにざっと目を通してみましょう。

売上
-売上原価
売上総利益
-販売費及び一般管理費
営業利益・・・・・・・・・・・・・・・・・企業本来の営業活動における利益
+営業外収益
-営業外費用
経常利益・・・・・・・・企業本来の営業活動以外の損益を加えた総合的な利益
+特別利益
-特別損益
税引前利益・・・・・・・・企業の総合的な収益力に臨時的な損益を含めた利益
-法人税等
+法人税調整額
当期純利益・・・・・・・・・・企業の社会的なコストを支払った最終的な利益

【1】 売上総利益・売上高・売上原価

◆売上総利益

売上総利益とは一般的に粗利といわれるものです。
売上高から売上原価を差し引いたものです。
売上高を大きくして、売上原価を小さくするほど売上総利益は大きくなり、会社は儲かります。

(例) 100円の商品を50個仕入れて、その商品を200円で40個売った場合の売上総利益は

・売上高…………200円×40個=8,000円
・売上原価………100円×40個=4,000円
・売上総利益……8,000円-4,000円=4,000円

注意点は、売上総利益の計算は仕入れた50個分ではなく売り上げた40個分で計算します。つまり、在庫があっても、追加仕入れをしても、売り上げた物の売上原価を計算します。なので、売上と売上原価は比例することになります。余談ですが、10個の売れ残り分は売上原価という費用ではなく期末在庫という資産となります。

会社としては期末に残っている在庫を確認しなければ、正確な売上原価を計算できないため、売上総利益も同じく計算できません。
従って、売上総利益を知るためには、どうしても売上高と売上原価を正確に理解しなくてはならないのです。

◆売上高

売上はお客様に商品やサービスを提供して頂いた代金のことで、売上高とは売上の総額をいいます。
1つ100円の商品を売る会社では、1つ売れるごとに100円の売上になります。一定期間に50個売れた場合、この会社の売上高は100円×50個=5,000円となります。

◆売上原価

売上原価とは一定期間に売り上げた商品の仕入れや製造にかかった費用のことをいいます。
売上原価は、企業の形態によって解釈があって、含めるものが異なる場合もありますが、売上原価は、主に仕入れ代金と外注費で、その商品を販売するためには欠かせないものです。また、自社で商品を製造加工するときは、人件費も売上原価に含められます。

原価とは、商品を生産する工程でかかる価格で、大きく分けると直接費と関節費とに分かれます。
直接費は直接材料費・直接労務費・直接経費のことで、間接費は間接材料費・関節労務費・間接経費のことです。売上原価に含めることができるのは、直接費なのです。つまり、製造業や建築業やシステム開発業など専門的に物を作る仕事の人件費(直接労務費)は売上原価に含まれますが、物を作らない仕事の人件費(間接労務費)売上原価に含まれません。

※仕入れ代金……原材料と商品に分けられます。加工して販売するなら、原材料代金のことですが、仕入れてそのまま販売したり、卸したりする場合は商品代金のことです。

※外注費……商品の製造や加工を依頼することで発生する費用のことです。

◆売上総利益率

売上総利益率とは、売上総利益の売上に対する構成比のことです。粗利率ということもあります。一般にサービス業は、売上総利益率が高く、小売業は売上総利益率が低いといわれています。よって、異業種間で売上総利益率を比べることは、あまり意味がありません。
利益率を比べることは、あまり意味がありません。

計算式Ⅱ
売上総利益率(%)= 売上総利益( 売上高 - 売上原価 ) ÷ 売上高 × 100

損益計算書の中の5つの利益

売上総利益のほかに、重要な利益が4つあります。
売上総利益と一緒に覚えておきましょう。
売上総利益
営業利益
経常利益
税引前当期純利益
当期純利益

【2】 営業利益

営業利益とは、企業本来の営業活動における利益で、受取利息や固定資産売却益などによって計上される利益は含みません。例えば、家電会社なら家電の売上、化粧品会社なら化粧品の売上、という会社の中心となる事業によって出てくる利益のことです。

計算式Ⅲ
営業利益 = 売上総利益 - 販売費及び一般管理費

◆販売費及び一般管理費

従業員の給与や社会保険料などの人件費、オフィス賃貸料や接待費交際費など、商品やサービスを売り込むためにいる様々な経費のことです。

営業利益は、人事関連において賞与原資を算出する際の業績指標として活用されることが多くあります。社員の本業における成果に対する意識付けを強化するためには有効ですが、営業外損益等のコストが含まれておらず、賞与原資が財務基盤を圧迫する可能性があります。また、キャッシュマネジメントの成果が含まれていません。

【3】経常利益

経常利益とは、企業本来の営業活動における利益(営業利益)に受取利息・受取配当金・仕入割引など本業以外の営業外収益を加えて、支払利息・割引料・社債利息など営業外費用を差し引いたものをいいます。

計算式Ⅳ
経常利益 = 営業利益 + 営業外収益 - 営業外費用

◆営業外利益……受取利益、受取配当金、仕入割引、雑収入
◆営業外費用……支払利息、社債利息、割引料、雑費用

営業利益が企業の本業における強さを見るのに比べて、経常利益は企業の本業以外の損益を加えた総合的な収益力を示す指標として、一般的に用いられています。
よって、企業本来の営業活動が活発な企業では営業利益が一番大きくなり、経常利益、税引前当期純利益、当期純利益の順で減るのが通常です。
ただ、高度成長期からバブルのころ、日本の企業は営業利益と共に余剰資金の運用として株式や不動産投資によって得られた営業外収益が増えて、バブル崩壊後は、そのような投資の資金の回収活動が足かせとなって、本来の営業活動がうまく進まない企業がみられました。営業利益と経常利益は常にバランスをうまく取ることが重要です。

【4】税引前当期純利益

税引前当期純利益とは、法人税などの税金を支払う前の利益のことです。
税引前当期純利益は、税引前利益、税引前当期利益、税引等調整前当期純利益などといわれることがあります。

経常利益は、通常継続的に発生する損益項目で計算されている利益(通常の収益力を示す指標)ですが、税引前当期純利益は、臨時的な損益を損益計算から除外しないで全て損益計算した利益(純粋な当期の経営活動の成果)です。
つまり、税引前当期純利益は、固定資産の売却益、投資有価証券の売却益などの臨時的な収益を加えて、固定資産売価損、投資有価証券売却損、火災損失などの臨時的な費用を差し引いた利益です。
さらに、税引前当期純利益は、税金を差し引く前の企業の処分可能な利益を示すと共に、投下資本の回収余剰ということもできます。
この数値が、マイナスの時は税引前当期純損失といいます。

計算式Ⅴ
税引前当期純利益 = 経常利益 + 特別利益 - 特別損失

◆特別利益(臨時的に発生した利益)……前期損益修正益、固定資産売却益、
投資有価証券売却益、引当金戻入益、保険差益など

◆特別損失(臨時的に発生した損失)……固定資産売却損、投資有価証券売却損、
減損損益、災害損失など

【5】当期純利益

当期純利益とは、税引前当期純利益から法人税、住民税、事業税、法人税等調整額を差し引いた後の利益のことです。当期純利益は法人の社会的なコストを全て支払ったうえでの最終的な成果であり、企業の富です。そのため一般に単に利益と言った場合は当期純利益を差すことが多くあります。当期純利益がマイナスとなった場合は当期純損失といいます。

計算式Ⅵ
当期純利益 = 税引前当期純利益 - 住民税、事業税、法人税等調整額

貸借対照表においては、当期純利益の額だけ純資産が増加することになります。純資産が増加することは、株主資本比率が増加します。
当期純利益は、賞与原資を計算するときの業績指標として活用されることがあり、そのため、企業戦略から成果を出すに至るまでを社員に意識付ける一定の効果があります。しかし、特別損失や株主資本比率など社員がかかわらない項目も含まれるため、納得感が低いことが、多くみられます。

◆純資産……自己資本とも呼ばれて、株主からの拠出資本に利益の内部留保を加算したものです。会社の総資産に占める株主の持ち分、株主に帰属する部分です。貸借対照表上では資本金、法定準備金、任意積立金、当期未処分利益を加えたものです。
返財の義務がなく、配当金支払いは、銀行などへの金利支払いとは違い業績に応じて臨機応変に行うことができる安定した資金源です。

※株主資本比率……自己資本と他人資本を合わせて、総資本といい、総資本に対する自己資本の割合をいいます。そのため、自己資本比率ということもあります。株主資本比率が高いほど企業経営の安定感が高くなります。

まとめ

売上総利益とは、商品や製品の売上高から、その売上原価を差し引いた額で、会社の基本となる利益であり、最も重要な利益の源です。
損益計算書では、売上総利益から販売費および一般管理費を差し引いたものが営業利益。営業利益に営業外収益を加減したものが経常利益になります。
さらに、経常利益に特別利益や特別損失を加減したものが税引前当期純利益。税引前当期純利益から住民税、事業税、法人税等調整額を差し引いたものを当期純利益といいます。