中小企業の経営課題

中小企業には様々な経営課題があります。「人材確保」「新技術(商品)の開発」「後継者の育成」「新分野への進出」「業績アップ」など、課題はつきません。

今回は、上記5つの課題についてお話ししていきます。

人材の確保と育成

今までも困難であった人材確保。最近では、少子化の影響でさらに拍車がかかっています。
大企業に比べて規模や知名度の点でも劣る中小企業において、人材の確保・育成は存続の最大の経営課題といっても過言ではありません。

もちろん一流大学を出た優秀な人材を確保することは至難の業です。三流大学卒や高卒の人材が来てくれるだけでもありがたいことです。ですから、大切なのは入社した人材をどのように教育し、育てていくかにかかっています。

稲盛和夫氏は言います。
「人生・仕事の結果=考え方×熱意×能力」だと。

京セラもかつては、中小企業でした。「良い人材が来ない」と嘆いてもいました。そして、来ないなら育てるしかないとこの方程式を考えたのです。

能力が高くても熱意がなければ成長はない。逆に言うなら、熱意さえあれば能力は少しずつでも向上してくる。ですから、仕事に熱意を持たせるためどうしたらいいのかを常に考えたのです。

しかし、考えた方が間違っていれば、マイナスの方向に進んでしまいます。
熱意60点×能力40点×考え方-50点であれば、-12000点になります。
考え方が+50点であれば12000点になります。

ですから、熱意を持たせるだけではなく、考え方を一生懸命に説いたのです。

社内に教育システムを作って人材を育てる。中小企業の発展のヒントが伺えます。

後継者の育成

後継者問題で悩む経営者は後を絶ちません。なぜなのか。多くは、自分の息子に後を継がせたいと思うのですが、息子とのそりが合わず後を継いでくれないということです。

これが起こる最大の原因は、社長と息子の対話不足です。
なぜ、後を継がなければならないのか、その理由を昏々と伝える。事業の成り立ち、社員への責任ほか、息子自身が目指すことも含めてじっくりと話し合わない限り、前には進みません。

しかし、この場合はまだよい方です。出生率の低下で息子がいない経営者の割合も増えています。

直系が後を継がない場合の選択肢は2つです。一つ目は、社員から社長を選ぶ、2つ目はM&Aにより会社を売却するということです。

社員が後を継ぐ場合は、個人保証の問題が出てきます。社長の自宅が担保に入っている場合が多いのですが、この担保を誰が肩代わりするのか。簡単に答えはでません。さらに、後継者になる社員の人徳も重要です。

稲盛氏は、「能力のある者には対価で応え、人徳のあるものをリーダーに配置せよ」というくらい後継者の資質は重要です。その資質により会社の未来が大きく左右されるからです。

M&Aをする場合は、社員の幸せを第一に考えるべきです。損得だけを考えてM&Aをした場合、追い込まれるのは買収された側の社員です。幹部になる道が閉ざされたり、買収した側の社員から迫害を受けたりすることが多いようなので、そのようなことがないように、残された社員が幸せになるM&Aをすることが望ましいといえます。

新技術(商品)の開発

新商品の開発は何のためにするのでしょうか?

その理由は、今ある商品だけでは、いずれ売上が低迷するかもしれないので、好調に売れているときに、次に売れる商品を開発したいということです。

稲盛和夫氏は、創業当初、松下電器にテレビに使う絶縁体であるU字ケルシマのみを制作して納めていました。しかし、技術の発展や様式の変化により、U字ケルシマがなくなるかもしれないという不安が絶えずあったそうです。
だから、出来そうもない注文をもらっては、社員を鼓舞し新たな製品を作っていったというのは有名な話です。

これは、お客様の要望があって技術を開発していったので、新たな商品を生み出そうとしたのとは違いますが、次世代を見込んで売れる商品を開発することは企業が存続する上で欠かせないことです。

新商品開発のヒントは、自分が困っていることを商品にすることです。であれば、毎月、社員から困っていることを聞きだせば、新商品開発のヒントは山ほどあるということです。

業績をアップさせる

業績をアップさせるには、既存客を掘り起こすか、新規客を開拓するしかありません。
既存客を掘り起こす場合は、フォローが大切になります。

既存客を掘り起こす

フォローする場合は、受注額によりA・B・C・Dというようにランク分けをして訪問回数を決めます。例えば、Aは週一、Bは2週に一回、Cは3週に一回、Dは月に1回という具合です。きめ細かく訪問回数を分けるだけではなく、既存客の要望をしっかりと聞き出して、仕事になるような提案ができるように心がけることが大切です。

また、ニュースレターなどを発行して、自社が取り組んでいる仕事の近況やお客様に依頼された仕事の実例などを紹介していくと、お客様が「こんな仕事もできるんだ!」と気づいてくれ、それが、新たな受注につながります。

このように既存客に対しては、足を運ぶ、情報を郵送したり、メールで送ることでフォローすることが大切です。

新規客を開拓する

新規客を開拓するにはいろんな方法があります。
飛び込み営業、ダイレクトメール、電話営業、ホームページ集客など方法は多岐に渡ります。

新規客を開拓するのに確実なのは営業マンの努力です。しかし、訪問の約束を取ることから始めなければいけない新規営業は、苦痛が伴います。そこで必要になるのが、経営者のリーダーシップです。明確な目標とスケジュールを立て、計画的に営業活動をさせることが大切です。そして、必達目標を定期的に確認する。そうすれば、新規客開拓が全体的な必達目標として共有され、日頃の営業活動の中に浸透していきます。

しかし、営業に行くだけでは仕事につながりません。自社の強みを明確に伝えることが出来なければなりません。ですから、全社員で自社の強味を把握することが大切です。

余談ですが、稲盛氏も会社が小さかった時は、自らが自社の商品を使ってくれる先を探して必死になって新規営業に走り回ったそうです。

新分野への進出

会社を拡大させていくには、新分野への進出は欠かせません。
いつまでも同じことをしていると、社会的要因などによりマーケットが縮小されてしまいます。

ちょうど、テレビドラマで「陸王」が放映されています。
足袋を生業としている会社が、ランニングシューズの業界に進出する物語です。

足袋は、江戸、明治、大正、昭和、平成と時代と共に需要は減ってきています。着物から洋服に変わった社会的要因に帰するところが大きいからです。

業界としては、新しいホームページの業界でも同じようなことが起こっています。SEOを生業としていた会社が、技術の進歩により今までの手法が使われなくなり廃業に追い込まれた会社がたくさんあります。

ですから、新分野への進出は、企業存続に欠かせないのです。

その際に気をつけることは、稲盛氏が言うように「飛び石は撃つな!」ということです。
現状の仕事とは、全く関係のない仕事に手を出すのは危険だからです。今まで培ってきたノウハウが役に立たないとなると前途多難です。

ですから、新分野へ進出する場合は、現状の仕事と何等かの関わりがある分野への進出が無難だといえます。

まったくの新分野へ進出する場合は、十分な内部留保を持っていなければ本業を危機に追い込むことになるかもしれません。

稲盛氏がDDIを設立し、何も知らない通信業界に打って出たことは有名な話ですが、京セラには、事業が失敗しても本業はびくともしないほどの内部留保があったからこそ、決断できたことだと思われます。

まとめ

中小企業の経営課題は「人材確保」「新技術(商品)の開発」「後継者の育成」「新分野への進出」「業績アップ」であると紹介しました。
どれをとっても簡単にできることはありません。何から手を付けていけばいいのか、具体的な計画を立て、着実に遂行することが大切です。